産業医と職場のメンタルヘルスについて

 2016年8月に産業医科大学での研修課程を修了し産業医資格を有しております。

西区医師会報第117号(2022年12月号)掲載内容

精神科領域の産業医活動

 クリニック開院後6年が経過しました。クリニックでの診療業務とは別に、近隣の会社で精神科領域の嘱託産業医としての業務もしております。産業医業務はクリニック開院後に始めたのですが、診療業務とは異なる面も多く、難しいですがやりがいのある仕事であると感じております。その業務やその中で感じたことについて少しだけ書かせて頂きます。

 産業医業務の現場では、統合失調症やうつ病等いわゆる精神病を扱うことは珍しく、仕事内容や対人関係における不適応から精神的に疲弊することで生じるうつ症状を扱うことがほとんどです。この場合、診断書には“適応障害”と記載されることもありますが、“うつ状態”とだけ記載されることが多いです。本人の性格特性、精神特性、自閉症やADHD等の発達障害特性が要因となっている場合が多いのですが、同時に、上司のそれら特性が要因となっている場合もあります。それら要因を見極め、それぞれに必要な助言を行い、対策を立てていくという形ですすめていきます。

 終身雇用が当たり前ではなく転職が普通のこととなりつつあり、仕事だけでなくプライベートも重視する傾向が強まってきている今、それら変化への気付きが不十分な上司は部下を適切に取り扱えなくなっており、また一方で、部下は上司への不満や仕事の負荷に対して耐えることが難しくなっているように感じます。また、ここ数年は“新型コロナウイルス”の影響で、在宅勤務の形態が急激に増え、退勤後に上司や同僚と“飲みに行く”ことはこれまで以上に減ってきており、そのため、仕事に直接的に必要のないコミュニケーションは減少し、それに伴い相互の心の繋がりも減弱してきていると考えます。こういった世の中の雇用・労働様式や価値観の変化から生じてくる影響を取りあげ、精神医学的、心理学的な観点から、採用、異動、教育について今後どうしていくべきかを会社に助言することも少なくありません。

 精神科領域の産業医業務は面談や医学的評価だけに留まらず、世の中の変化から間接的に受ける影響を併せて考えねばならないことが多く、それゆえに、とても奥が深く、やりがいのあるものと感じております。

 引き続き産業医業務に取り組むとともに、クリニックの診療業務にも一層励んで取り組んで参りますので、今後とも何卒よろしくお願い致します。

産業医業務を希望される企業ご担当者の方へ

  既に契約している産業医がメンタルヘルス領域(産業精神領域)には詳しくなく、社員の方への対応等で悩まれ、メンタルヘルス領域に関して専門性の高い産業医を望まれるケースが少なからずあるかと思います。

 お問い合わせを多く頂くのですが、多忙のためお断りしているのが現状であり申し訳ありません。ただし、下記の場合には検討可能な場合がございますため、電話にて当院にお問い合わせ下さい。

 

 ●産業医と既に契約しており、メンタルヘルス領域の部分に関して精神科の産業医との契約を『追加』で希望している

 ●メンタルヘルス業務を行うにあたり『保健師』や『メンタルヘルスの担当者』が存在する

 

 なお、業務に対する報酬(料金)は、業務の難易度と業務にかかる時間や訪問先までの移動時間等によって変わります。